自衛隊出身者の強みを民間企業でも活かす 転職サポート「Catapult」 事業成功を確信するワケと社会的意義

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2024.08.27
  • コラム

Ballistaは2024年8月、公務・保安業界出身者のネクストキャリアをサポートするサービス「Catapult」を開始しました。Catapultは自衛隊経験を経たBallistaメンバーが、転職を希望する自衛隊出身者のキャリアパートナーとなる唯一無二のサービスです。自衛隊出身者の強みや能力を民間企業で生かす術を熟知しているからこそ、ネクストキャリアの成功に導くことができます。ともに防衛大学校出身のBallista中川貴登代表とCatapultの責任者を務める古川勇気が、事業に込めた思いや意義を語りました。


■自衛隊出身のBallistaメンバー 実体験からサポート

―どのような思いから、自衛隊出身者を対象にした転職サービスを始めようと考えたのですか?
中川:Catapultは、ずっと立ち上げたいと思っていた事業でした。今の自分のベースには、卒業した防衛大学校での学びがあるので、自衛隊への感謝の気持ちを持ち続けています。それに加え、自衛隊出身者は自衛隊で身に付けた強みを民間企業で活かしきれていないという課題を感じていました。実は、私自身も最初は民間企業に上手く適応できませんでした。Catapultの事業責任者を務める古川は防衛大学校の2学年後輩にあたります。古川は元々、個人事業主として自衛隊出身者のネクストキャリアをサポートする事業を展開していました。ただ、自衛隊経験者を支援したい思いがあっても事業として上手く回せていないという相談を受けたこともあって、それならBallistaで一緒にやろうという形になりました。

古川:私も防衛大学校や自衛隊に恩返ししたい気持ちを持ち続けています。さらに、自分と同じように民間企業への就職や転職で苦労している自衛官の役に立ちたいという思いから、自衛隊出身者のネクストキャリアを支援するビジネスを始めました。しかし、自分自身にビジネスマインドやスキルが不足していたこともあり、熱意だけでは事業は成功しない現実の厳しさを知りました。

■民間企業への就職活動で挫折…目標と現実のギャップに焦り

―お二人とも、民間企業で挫折を経験したんですね。
古川:私は自分にどんな仕事が向いているのか、世の中にはどのような仕事があるのかを調べたり考えたりするところからスタートしました。約2年間、フリーターとして自分探しをした後に派遣社員、契約社員、正社員と一歩一歩キャリアを築きました。現在に至るまで、かなり遠回りしてしまいました。当時、自衛隊出身者特有の事情を理解して相談に乗ってくださる方が近くに居たら、違う結果になっていたと思います。

中川:私も社会に出て最初の半年間はフリーターでした。夢はあっても、実現する方法が分からず苦労しました。コンサルタントとして安定した生活を手に入れるまでに転職を繰り返し、収入がない時期もありました。周りの自衛隊出身者を見ても、同じ悩みに直面していました。古川とは防衛大学校卒業後も定期的に連絡を取っていました。私の仕事が軌道に乗り始めていた数年前、古川と話していると「仕事が上手くいっていなくて迷っているな」と感じました。本人も焦りや迷いを自覚していたと思います。

古川:そうですね。当時は思い描く人生を歩めていませんでした。自分ならきっとできるという根拠のない自信がある一方、実際は実力が追いついていないギャップにもがいていました。そのギャップの埋め方も分からず、かなり焦っていました。

中川:古川の良いところは、平日は会社員として働き、土日は個人事業主として自分がやりたい事業を頑張っていたところです。自衛隊のコミュニティを自分で立ち上げて、困っている自衛隊出身者をサポートしようとしていました。ただ、事業としては解像度が粗くて、このままでは成功するのは難しいと感じていたため、Catapultにおいては古川が描いていたビジョンの軌道修正や、サービス内容の具体化を行いました。

■自衛隊出身者のキャリアサポートで「日本を良くする」

―古川さんがBallista入社前に独自でやっていた内容と、Catapultには、どんな違いがありますか?
古川:一番の違いは、視座の高さです。Ballistaに入って中川代表から「日本を良くしていきたいよね」と言われた時に、自分は目の前にいる自衛隊出身者の悩みを解決するという狭い部分しか見えていないことに気づきました。その後、自衛隊出身者はもちろん、その先の自衛隊や防衛省、自衛隊経験者を雇用する企業側にも目を向けた事業に軌道修正を行い、それから私がぼんやりとイメージしていたサービス内容の詳細を具体化していきました。

中川:目先の課題解決だけでは、サービスとして上手くいきません。自衛隊出身者のキャリアサポートと言っても、立場によって考え方は異なります。その中で、全てのステークホルダーの方々が賛同し、社会的に意義のある事業にしないといけないと考えていました。そして、それを実現できるのはBallista以外にないと確信しています。

―なぜ、Ballistaは自衛隊出身者のネクストキャリアを成功に導ける自信があるのですか?
中川:この事業を成功させるためには、大きく2つのハードルがあります。1つは、自衛隊を深く理解している自衛隊経験者でないとできない点。もう1つは、一般的なキャリアエージェンシーでは十分なサポートができない点です。自衛隊出身者のネクストキャリアを成功させるためには、サポートする人自身にビジネスでの成功体験やビジネスを動かした経験が不可欠です。左から右へ人を移すだけのエージェントでは、本当の意味でのキャリアサポートはできません。その点、Ballistaには私や古川を含めて10名以上の自衛隊出身者がいて、それぞれがビジネスでの成功体験を積み上げたり、コンサルタントとしてクライアントのビジネスを成功させてきた経験を持っています。ロールモデルとなり得る人材が転職を希望する自衛隊出身者のキャリアコーチングを担うことで、2つのハードルをクリアできます。

古川:他の企業が同じ事業をするのにはハードルが高いと思います。自衛隊出身者がCatapultに登録すると、転職にとどまらず、キャリアのゴールまで私たちが伴走していくイメージです。自衛隊出身者の強みを理解しているBallistaのメンバーが、自衛隊出身者を雇用するメリットを企業に説明できるところも大きな特徴です。

中川:そこはCatapultの付加価値になります。自衛隊という言葉を聞くと固定されたイメージを持っている人も多く、できる仕事が極めて限られると誤解されがちです。ところが、自衛隊出身者は企業の課題を解決したり、ビジネスを加速させたりする力になり得ると信じています。それを私たちが企業側に翻訳して伝えていきます。自衛隊の方々は国家防衛の志を持って心身ともに鍛え上げているにもかかわらず、民間企業では持っている力を発揮できないケースが少なくありません。ポテンシャルを秘めた人材に水をあげて、種から花を咲かせるサービスをつくっていきたいと思っています。


■民間企業で活きる自衛隊の強み 転職成功と失敗の差は…

―民間企業で働く上で、どんなところに自衛隊出身者の強みがあると考えていますか?
古川:実際に自衛隊経験のある人を採用した企業に話を伺うと、管理能力が高いという声をよくいただきますがこれは、自衛隊は人数が多いので、マネージメント能力が自然と身に付くからだと思います。訓練をはじめとする任務遂行が民間企業のプロジェクトマネージメントにも共通点があり、高い評価につながっています。

中川:私は主に3つの強みがあると思っています。1つ目は、やり切る力です。自衛隊は任務を中途半端に終わらせてしまうと、国が侵略されてしまうので、物事をやり切ることに対するマインドセットをベースとして持っています。民間企業で働く際も、やり切る方向性を正しく導くことができれば、様々な価値を生み出す力があると考えています。やり切る力と重なる部分はありますが、2つ目はラストマンシップです。私は民間企業に入った際、最後の責任を負う覚悟がない人が意外に多いと感じました。自衛隊では自分が問題を解決する、という気概を訓練で醸成されます。3つ目はサーバントリーダーシップです。これは相手に奉仕してから主体的な行動を促す支援型リーダーシップで、チームや組織の力を高める上で活かせる能力です。Ballistaにいる自衛隊経験者は特に、やり切る力の高さが特徴だと強く感じています。

―民間企業で活躍できる自衛隊出身者と、上手く能力を発揮できていない人の差はどこにあると感じていますか?
中川:民間企業で上手く能力を発揮できていないのは、自分が進むべき方向が分からず迷走してしまうケースと、目標や思いを持っていても具体的に何をしたら良いのか分からないケースがあります。いずれの場合も、適切なコーチングやフィードバックを受けられる環境に身を置くことで、成功する可能性は高くなります。転職を成功させるためには能力ではなく、一歩を踏み出したり、軌道修正したりできるきっかけをつかめるかどうかが重要だと考えています。

古川:そのようなきっかけをつくったり、コーチングを行っていくことで成功に導くのがCatapultです。Ballistaでコンサルティングを行っているクライアントに対して実際に取り入れている研修プログラムを、自衛隊出身者向けにカスタマイズして提供していくことで、民間企業で活躍するためのビジネスマインドやスキルを磨く場となります。また、自衛隊経験者が集まるコミュニティを運営してイベントを定期的に開催し、視野や人脈を広げる機会を創出します。

■1年以内に業界No.1へ 自衛隊出身者の民間活用は社会の利益

―事業として描いているCatapultのビジョンを教えてください。
中川:サービス自体はニッチなマーケットなので、短期的には1年以内に自衛隊出身向けの転職市場でナンバーワンのサービスになることが目標です。古川は、どう考えていますか?

古川:もちろん、そのつもりです。この先、数年後にはBallistaの1つの事業という枠を超えて、CatapultをBallistaの1つの子会社として独立させるくらいの規模にしていきたいです。

中川:自衛隊出身者には、それだけ大きな可能性がありますし、民間企業でも活躍する機会を拡大していかないと社会の損失になってしまいます。様々な企業の方々に伝えたいことは、「自衛隊経験者を活用しないのは、すごくもったいない」ということです。水をあげれば育つ優秀な人材を生かさない手はありません。現在2期目のBallistaが1年前と比べて売上高1040%、社員数10倍を達成したのは事業を牽引している自衛隊出身者の存在も要因の1つだと考えています。私たちの会社のように自衛隊の経験を活かして成長する会社が増えていけば、この国はより良くなっていくと信じています。

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